上海通信Shanghai Report

中国的住居システム~小区

2022年12月06日

こんにちは、Beauty Works Shanghaiの清水です。

上海は最近毎日雨模様のぐずついた天気が続いています。すっかり冬の寒さとなりましたが、日本人社会は、サッカーWCで盛り上がったりして結構熱いです(残念ながら昨夜ベスト16で敗退。(´;ω;`)ウゥゥ)

さて、中国には、小区という行政単位がありまして、上から順番でいいますと、国⇒省(直轄市含む)⇒市⇒県とか鎮(村)とか⇒区⇒街道、そして小区となります。

この小区、ぱっと見は、日本でいうところの公営住宅、関西の文化住宅のような、つまり団地なんですが、1つだけ違うところがあります。柵や外壁に囲われていて、決められたゲートからしか出入りができず、出入り口には保安がいることです。つまり大きな檻の中に人間が飼育されているようにも見えます。

小区には規模の大きなものもあれば小さなものもありますが、敷地内には、公園があったり、クリーニング屋さんがあったり、美容院があったりしまして、規模の大きな小区には学校、幼稚園、診療所、派出所、銀行まであったりします。タウンインタウンの状態です。

また、小区内では、風紀や規律が著しく乱れないように、組織的にしっかり統制されていまして、小区の権力者は、日本の町内会長よりも大きな権力があります。旧来型の社会主義システムが現代にも垣間見れる空間なのです。

このような居住システムは、平時には大したメリットは感じないですが、有事にはそれなりのパワーを発揮することが上海でのロックダウンで証明されました。
簡単に言えば、出入り口を封鎖すれば、人流を抑えることが可能なのです。食料や生活物資の調達・配給なんかも、権力者がいかさまさえしなければ、比較的平等に機能するのです。

ちなみに、一昔前は、このような場所に外国人が立ち入ることが許されておらず、当然中国人以外は住むこともできませんでした。それは、西側の文化が中国人民の思想に悪影響を及ぼさないように、外国人と一般中国人が接触しないように管理されていたのです。しかしながら、それが前近代的な時代の話で、現代ではその程度の管理で情報を寸断することは不可能であり、いまでは普通に外国人も居住していて、外部者も比較的自由に出入りできます。チャンスがあれば、ぜひ一度中に入ってみてください。敷地内をウロウロしてみると、庶民の暮らしぶりが垣間見れます。

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文責
碧优缇商务咨询(上海)有限公司
COO 清水誉
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、関西学院大学大学院経済学研究科前期博士課程
修了、経済学修士。専門は、東アジア経済、中国労働経済。
1988年株式会社ブリヂストン入社、1993年広州事務所代表、1995年北京事務所代表、
1999年株式会社博報堂入社、2005年広東省広博報堂広告有限公司総経理などを歴任
し現職。中国ビジネス30年のスペシャリスト。
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