上海通信Shanghai Report

中国を正しく生き抜くための中国語講座~第99回「比亚迪」

2024年06月08日


イラスト:Liya

こんにちは。Beauty Works Shanghaiの清水です。

今週のサバイバルチャイニーズは、比亚迪(bi3 ya4 di2)、日本語的発音”びやでぃ”で、意味は、中国のEV自動車メーカーBYDのことです。

BYDは1995年に中国・深圳市で創業し、当初は携帯電話向け電池事業を展開しましたが、2003年、中国の国営自動車メーカーを買収して自動車事業に参入しました。現在はガソリン車の生産を終了し、乗用車はEVとプラグインハイブリッド車(PHV)のみを製造・販売しています。BYDは、「Build Your Dream(夢を築こう)」の略です。

現在中国でのEV・PHEVの普及率は約30%で、無視できない存在というより、自動車マーケットの主役になってきています。特に最近では、乗用車だけでなく、商用車、市内バスなんかにもEV車が登場していますし、近い将来はトラックや建機車両なんかにも投入されるんじゃないでしょうか。もともと、EV車マーケットでは、米国テスラが世界市場を牽引してきましたが、ここ中国では最大手であるBYDがついにテスラを凌駕しつつあります。そして、BYDは国内市場だけでなく、海外市場においてもその存在感を見せ始めていて、最近は日本でもよくTVCMを見るようになりました。

電気自動車に関しては、騒音や振動が少なく乗り心地がいいし、ヨーロッパなどでの環境規制もあって、環境にやさしい次世代自動車ということで、ものすごい勢いで普及してきました。中国でも国家戦略として国が後押ししています。一方で、価格がまだまだ高い、1回の充電での走行距離が短い、充電場所が少ないなどの課題もあります。

中国と日本では、国土の大きさも違うし、環境やエネルギー需給も違うんで、一概にマーケットの比較はできませんが、EV領域ではやや出遅れたと言われている日本メーカーがどう中国含む世界市場で巻き返すのか、BYDを筆頭とした中国のEV車メーカーが今後も世界を席巻していくのか?また、米テスラは?などなど、国家間の貿易摩擦やITによる情報コントロールといったことまで巻き込み、今後も目が離せません。

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文責
碧优缇商务咨询(上海)有限公司
COO 清水誉
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、関西学院大学大学院経済学研究科前期博士課程
修了、経済学修士。専門は、東アジア経済、中国労働経済。
1988年株式会社ブリヂストン入社、1993年広州事務所代表、1995年北京事務所代表、
1999年株式会社博報堂入社、2005年広東省広博報堂広告有限公司総経理などを歴任
し現職。中国ビジネス30年のスペシャリスト。
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