上海通信Shanghai Report
中国を正しく生き抜くための中国語講座~第70回「排队」
GraphicDesign:Liya
こんにちは。Beauty Works Shanghaiの清水です。
今週のサバイバルチャイニーズは、排队(pai2 dui4)、日本語的発音”ぱいどぅい”で、意味は列に並ぶことです。
中国人民の道徳教育と民度が劇的にアップして、お行儀よく列に並ぶという行為ができるようになったのは、21世紀になってからだとワタシは思っています。いまでも、割り込みする人はいますが、それは別に中国に限らず、日本だって欧米だって同じ、どの国でも必ず一定量そういうモラルがない輩はいます。
1990年代の中国で列ができないで困った局面は、事例をあげたらきりがないですが、特に脳裏に焼き付いているものとしては、
①タクシー:地下鉄や路線バスなどが整備されていない時代に台数が圧倒的に足りない。当然滴滴のような配車サービスもない。ホテルの前などはホテルマンがいるので、一定の秩序はあったが、ちょっと目を離すと5秒で乱れる。
②公衆トイレ:そもそも汚すぎて並ばないけど、切羽詰まったひと同士の熾烈な奪い合いは殺気立つ。
③公衆電話:携帯電話がまだ普及していない時代、いつまで経っても順番が回ってこない。
④銀行:アリペイとかwechatペイなどのデジタル決済はおろか、ATMすらまだない時代、銀行の窓口に並んで現金を引き出そうとすると、中国民衆との熾烈な戦いとなり、平均半日以上を要する。一番前に並んでいるのに、後ろの人が伝票を持った手を左右頭の上から伸ばして、窓口の小姐に渡そうとする。
⑤マクドナルド:中国に進出したばかりで店舗数がほとんどなく、またデジタル注文はおろか、機械による注文もない時代、物珍しさで人が殺到して、ハンバーガーを買うために半日を要する。0円であるはずのスタッフのスマイルもあるはずがない。
⑥駅:並んでいるのか立っているだけなのか、寝ているのか起きているのか、電車の利用者なのかそうでないのか、この世の”乱れ”の縮図を見ているような光景はある意味刺激的でした。
因みに、ギリギリなんとか列ができていたもので記憶があるのは、
①各種券売所:当然今みたいにデジタル化されていないが、外国人料金と中国人料金が2重料金になっていたため並ぶ場所が違い、外国人のほうだけにはキレイに列ができていた。たとえ金を2倍払っても、ちゃんと並んでいるほうで買いたい気持ちになる。
②空港のチェックインカウンター:当時飛行機を利用する人自体、そこそこ民度の高い人だけだったので、一定の秩序が保たれていた。
ということで、その昔、本来列になるべき場所で、そうはならずに乱れた状態を、日本人である私が、「请排好队!!!」と叫びながら、整理してあげたことは1度や2度ではありませんが、30年間で道徳教育がしっかり浸透したことを考えると、経済や文化のグローバル化、そしてなにより「教育」というものの重要さがよくわかります。
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文責
碧优缇商务咨询(上海)有限公司
COO 清水誉
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、関西学院大学大学院経済学研究科前期博士課程
修了、経済学修士。専門は、東アジア経済、中国労働経済。
1988年株式会社ブリヂストン入社、1993年広州事務所代表、1995年北京事務所代表、
1999年株式会社博報堂入社、2005年広東省広博報堂広告有限公司総経理などを歴任
し現職。中国ビジネス30年のスペシャリスト。
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