上海通信Shanghai Report

上海梅龙镇伊势丹閉店

2024年06月18日

こんにちは、Beauty Works Shanghaiの清水です。

今年は上海も、梅雨入りが遅れている?あるいは空梅雨?といった感じで、天気もよく、気温もどんどん高くなり、すでに真夏の様相となっています。

さて、すでにだいぶ前にリリースされていますが、大手百貨店の三越伊勢丹ホールディングスが、上海にある店舗を6月末で閉店することになりました。今年4月には天津にある2店舗を閉店しており、中国本土に残る伊勢丹は天津仁恒店のみとなりました。

上海店は、中国で3つ目の店舗として1997年に開業しましたが、ネット通販の普及などを背景に、ここ数年は数千万元規模の赤字が続いていたようです。閉店の理由についての公式発表は、「店舗の建物の賃貸契約がことし8月上旬で満了となるため、外部環境の変化や店舗の収益性などを踏まえて決定した」としています。

90年代から上海に本格的に進出してきた日系百貨店は、当初上海の一等地、目抜き通りに燦然と威光を放つトレンドの最先端でした。民族系の百貨店が、正直ダサかった時代に、そこで販売されていた商品や提供されたサービスは、当時どれも一流のものだったと思います。消費者は見たこともない商品や受けたことのないようなきめ細かいサービスに正直ビビったに違いありません。

しかし、時代は少しずつ変わります。日本でもその成功モデルが陳腐化していったのと同じように、ここ上海では、ある意味物凄いスピードで陳腐化していきます。煌びやかなショッピングモールや、ブランドショップの台頭、香港資本や大陸資本による同業態のキャッチアップ、デジタル社会の到来、そして消費者の生活レベル、価値観、志向の変化。

それでも、ここまでよく踏ん張ってきたように思います。とても残念ではありますが、30年の時を経て、日本の百貨店ビジネスがここ上海で一定の役割を終えたのだと思います。中国での変化の速い環境についていけない場合、経営的な決断は致し方なく、日本人と日系企業はとても苦手とする”もうダメだと思った時の名誉ある撤退”も、中国ビジネスをやるうえでの大切なファクターだとワタシは考えています。

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文責
碧优缇商务咨询(上海)有限公司
COO 清水誉
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、関西学院大学大学院経済学研究科前期博士課程
修了、経済学修士。専門は、東アジア経済、中国労働経済。
1988年株式会社ブリヂストン入社、1993年広州事務所代表、1995年北京事務所代表、
1999年株式会社博報堂入社、2005年広東省広博報堂広告有限公司総経理などを歴任
し現職。中国ビジネス30年のスペシャリスト。
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